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□はば学冬の陣!
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「嵐さん、私も一緒に行っていい?」


 尋ねると、嵐さんは少し目を細めてうなづいた。


「おう、いいぞ。しっかりついてこい。」


「うん!」




 それにしても楽しそうだな、嵐さん。


 ワクワクしてるのを隠しようもないくらい目が輝いてる。強い相手に向かって行くときの目だ。


 この瞳の奥で相手の行動を幾通りも予想して、対策を考えてる。そんな瞳。


 その口元に不敵な笑みが浮かぶのを見て、私はこれ以上ないってくらいの安心を得る。


 こんなに頼もしい人は、他にいない。










「それじゃ、俺とメモ子で敵をひきつける。その隙に…」


「わかってますって。その隙にオレが、敵陣に攻め込んでって旗を獲る!でしょ?」


「そうだ。けど、無茶はするなよ。」


「りょーかい!けど、ソレはこっちのセリフですけどね〜。」


 そう言いながらニーナは私を見て、ね?と同意を求めてきた。


「ん?」


 なんのことだろうと首をかしげてニーナを見ると、やれやれ、と肩をすくめられた。


「相手が手ごわいってこと。」


「うん、わかってる。けどそれならニーナの方が危ないでしょ?」


「んー、だからそういうことじゃなくって……まあいいか。アンタも気を付けてね?」


「うん。ニーナも。」


 結局何が言いたかったんだろう。












「行くぞ、メモ子!」


「はい!」


「押忍!」


 嵐さんの合図で、私たちは一斉に陣を飛び出した。


 それに対し、狙う兄弟の陣からはコウ一人だけが向かってくる。


「新名!」


「はいはい…っと!」


 それを見た嵐さんとニーナが互いに目を見交わして、素早く左右にわかれた。




「メモ子!」


「はい!」


 名前を呼ばれただけで、それが行くぞって意味だとわかる。


 迷わず嵐さんの後に続く私を目の端だけで見て、嵐さんが満足そうに笑ったのが見えた。








「うおらぁぁぁぁぁ!!」


 そして、向こうから物凄い勢いで突っ込んでくるコウ。


 ……なんかもう、迫力がすごい。


 ほんの一瞬、ひるんでしまった私。だって顔が怖いんだもん!



「メモ子」


 嵐さんがいつもと同じ声根で私を呼ぶ。


 走るスピードはそのままだったから、うっかりすれば聞きもらしてしまいそうなその声を


 私の耳は、それが世界でただ一つの音のように。




「ついて来い。」















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